投稿者 評価点
<歌と評価点数>
YMさん
総合点 35 / 50
原歌
「寒風にのの字描きたる枝柳 寒風に身を委ねても春を待つ」
寒風にのの字描きたる枝柳
寒風に身を委ねても春を待つ
評価・点数
発想力 8 / 10
俳句的観察(のの字を描く枝)を軸に、「耐え、待つ」という心情へ展開した構成は自然で好感が持てます。
音の表現 6 / 10
「寒風に」が二度出ることで、リズムがやや重く、説明的に響きます。
同語反復が効果になる一歩手前、という印象です。
映像性 9 / 10
「のの字描きたる枝柳」は非常に映像的。
読む人の視線をしっかりと柳に固定できます。
余韻 6 / 10
「春を待つ」と結論を言い切っているため、余韻がやや閉じます。
もう少し“読者に委ねる終わり方”ができそうです。
技術・完成度 6 / 10
構成は整っていますが、
短歌としては「感じたことをそのまま言っている」印象が残ります。
総合点 35 / 50
全体講評
この歌の核は、
- 寒風の強さ
- 柳のしなやかさ
- 折れずに耐える命
この三点です。
すでに映像で十分語れているため、「春を待つ」という思想語が少し説明過多になっています。
短歌では
〈情景7割+言外の心3割〉
くらいが、叙情としていちばん深く響きます。
添削案(情緒・叙情性を高める)
添削①(説明を減らし、余韻を残す)
寒風にのの字描きたる枝柳
身を委ねつつ ほどけぬこころ
✔ 「春」を言わず、心の在り方で余韻を出す形。
添削②(自然に語らせる)
寒風にのの字描きたる枝柳
折れずに揺れて 空を見てゐる
✔ 柳の姿そのものが「希望」を語ります。
添削③(季節感をにじませる)
寒風にのの字描きたる枝柳
まだ名も持たぬ 芽吹きを秘めて
✔ 「春を待つ」を、未来の兆しとして置き換えています。
ワンポイント助言
- 同じ言葉を繰り返すなら「意味のずれ」をつくる
- 心情は言い切らず、物に背負わせる
- 柳は「耐える」「待つ」を語らせるのに最適な素材
とても素直で、あたたかい歌です。
少し言葉を引き算するだけで、ぐっと叙情が深まります。
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85点
Tさん
ザーザッー 軽やかに聞こう 波しぐれ 半分残る 九十九里城
評価点数(100点満点)
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観点 |
点数 |
講評 |
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発想力 |
19 / 20 |
「半分残る」という把握が秀逸 |
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音の表現 |
17 / 20 |
擬音と季語がよく響く |
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映像性 |
16 / 20 |
浜と波音が明確 |
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余韻 |
17 / 20 |
消失よりも深い余白が生まれた |
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技術・完成度 |
16 / 20 |
微調整で完成度さらに上がる |
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総合 |
85 / 100 |
土地詠として完成度の高い一首 |
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80点
Xさん
ゴーゴッー 耳をつんざく 荒い並 はかなく消えた 九十九里城
評価点数(100点満点)
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観点 |
点数 |
講評 |
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発想力 |
18 / 20 |
土地史と自然音の結合が秀逸 |
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音の表現 |
16 / 20 |
擬音が効いているが整理余地あり |
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映像性 |
17 / 20 |
荒海の情景が強く立ち上がる |
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余韻 |
14 / 20 |
結句にやや説明感 |
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技術・完成度 |
15 / 20 |
音数・語感調整で向上可能 |
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総合 |
80 / 100 |
骨格の強い佳作 |
87点
Yさん
怖くない いつ止まれども この心臓 怖い死ぬのは 柿のない秋
評価点(100点満点)
87点
発想:★★★★★
余韻:★★★★★
日常と死生観の融合:★★★★★
言葉の整理:★★★☆☆(伸びしろ)
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KYさん
総合:63点
雪のない 冬を喜び 空を見る 失った頃に 心は寒い
評価・点数(100点満点)
- 発想:17/20(視点は良い)
- 映像(具体性):10/20(情景が抽象寄り)
- 言葉の切れ:12/20(「空を見る」「心は寒い」が凡庸)
- 心情の深さ:15/20(核はあるが言い切りで浅く見える)
- 余韻:9/20(説明で閉じる)
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KKさん
総合点(100点満点)
69点
▶ 高度・知的・職人的発想
評価:19 / 20
◆ 音・リズム
▶ 破綻はないが、後半にもう一段の音楽性が欲しい
評価:17 / 20
◆ 表現・比喩
▶ 高度だが、距離感がある表現
評価:18 / 20
◆ 伝達性・余韻
▶ 余韻はあるが、感情のフックが弱い
評価:15 / 20
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俳句
HHさん
小口見て綺麗を選ぶ暦売
総合評価
78点/100点
鑑賞・講評
良い点
- 着眼点が非常に現代的で秀逸
「暦売」という季語的存在に対し、「運勢」ではなく「小口の美しさ」を見る、というズレが効いています。
- 人物像が自然に立ち上がる
大げさでない、しかし確かに「その人らしさ」が伝わる観察眼があります。- 年末の空気感
暦を買う行為そのものが、時間の節目・生活感をきちんと担っています。
気になる点
- やや説明的になりやすい構文
「見て」「選ぶ」と動作が二段階で並び、理屈が少し前に出ています。- 「小口」「綺麗」が散文寄り
意味は明確ですが、俳句としてはもう一歩、余白や詩情がほしいところです。
添削案(方向別)
① 説明を減らし、余白を出す
小口きれいなるを選ぶ暦売
- 動作説明を削り、「なる」を使うことで視線の流れを自然に。
② 口語感を抑え、俳句調を強める
小口美しき暦を売りぬ
- やや古風にすることで、暦という題材との相性が良くなります。
③ 人間味・可笑しみを少し足す
小口まで気にして選ぶ暦売
- 「まで」によって、自嘲的なニュアンスが立ち上がります。
総評
この句の魅力は、「運命」や「吉凶」に向かわず、生活者の癖・美意識に目を向けたところにあります。
大きな意味を背負わせず、年末の一瞬を切り取った点はとても好感が持てます。
今後は
- 動作語を減らす
- 名詞と名詞の緊張関係を強める
この二点を意識されると、さらに締まった句になるでしょう。
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KSさん
評価点数:85点/100点
海晴れて夕陽に富士や波静か
総合評価写生力:★★★★☆(4.5)
映像美:★★★★☆(4.5)
情緒・余韻:★★★☆☆(3.5)
完成度:★★★★☆(4.0)
鑑賞
晴れ渡る海、夕陽に照らされる富士、そして「波静か」という結句。
三つの要素が過不足なく配され、実景の雄大さと穏やかさが素直に伝わる、
写生力の高い一句です。
とりわけ「波静か」が、視覚から聴覚・体感へと静けさを広げています。
一方で、情景が端正なぶん、**詠み手の心の揺れ(驚き・畏敬・余韻)**がやや表に出にくい印象もあります。
「や」の位置や語の選びで、余白をもう一段深められそうです。
添削の方向性(情緒・叙情性を高める)
添削案①(原句尊重・余韻を強める)
海晴れて夕富士や波しづか
「夕陽に富士」を「夕富士」と凝縮し、余白を確保
「しづか」と仮名にして、音と感触のやわらかさを付与
添削案②(視点を富士へ寄せる)
海晴れて夕富士の波しづかなり
主体を「富士のある海」へ寄せ、全体を一幅の絵のように
添削案③(感動を一瞬だけ匂わせる)
海晴れて夕富士や息ひそむ波
人の気配を消すことで、作者の感動を「間接的」に表現
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HTさん
総合評価(100点満点)
総合点:89点
寂しげに 灯るランタン 雨降れば 月はなくとも 心うるおう
発想力:18 / 20
映像性:19 / 20
言葉の選択:16 / 20
構成・流れ:18 / 20
余韻・深み:18 / 20
添削・講評
① 発想・主題(とても良い)
「月がない=欠如」の状況を、雨とランタンによって“心が潤う”方向へ反転させた構図が美しく、静かな救済感があります。
寂寥と充足が同時に成立する点は、成熟した抒情です。
② 映像性
- 「寂しげに灯るランタン」
→ 視覚・心理の両方に効く良い措辞。- 「雨降れば」
→ 条件節として機能し、後半の心情変化を自然に導いています。
全体として夜・雨・灯という古典的かつ普遍的なイメージが、無理なく結びついています。
③ 言葉の精度(改善余地あり)
やや気になる点は終句の
うるおうこころ
ここがやや説明的で、情感を言い切ってしまっている印象があります。
すでに映像が十分に語っているため、一段抽象度を下げるか、身体感覚へ寄せると、余韻が増します。
TMさん
ピアノ弾く おぼつかない手 右(みぎ)左(ひだり) 背のばし妻の 横顔嬉し
【評価と採点】
点数:75点
評価: 情景が非常に具体的で、映像がすぐに浮かびます。
「おぼつかない手」と、対照的に「背を伸ばして」真剣に向き合う奥様の姿勢の対比が素晴らしいです。
何より、結びの「横顔嬉し」という直球の表現から、
ご夫婦の仲睦まじさがストレートに伝わり、読後感がとても爽やかです。
【添削のポイント】
現在のままでも十分素敵ですが、
より「短歌らしい」リズムや余韻を作るためのポイントをいくつか挙げます。
1. 「右(みぎ)左(ひだり)」の整理 ピアノを弾く手のことなので、
あえて「右左」と言わなくても「おぼつかない手」だけで十分伝わります。
ここを別の描写に充てると、より深みが出ます。
2. 「嬉し」の主体 「横顔嬉し」だと、奥様が(うまく弾けて)嬉しいのか、
それを見ている作者が嬉しいのか、両方の意味に取れます。
もし「見ている私が幸せだ」というニュアンスを強めたい場合は、
少し語順を変える手法もあります。
3. 助詞の使い方 「ピアノ弾く」を「ピアノ弾(ひ)く」と動詞で止めるのも良いですが、
少し流れが途切れる印象もあります。
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